2つのルートで登れる複線型人事制度の活用

複線型人事制度とは、一般社員から管理者へ昇進するのと並行して、専門職として昇進する処遇ルートを設ける人事制度で、製品・サービスの開発技術者など専門職の活躍が、企業の発展にとって重要な意味を持っている場合に活用されています。

複線型人事制度の背景

複線型人事制度を採用する企業は、最近増加しているようですが、その背景は次のように考えられます。

  1. 従業員が会社に対して求める処遇の要素が、単に「管理職への昇進を目指す単線型人事制度」だけでは満たされず、個人の労働観が多様化してきた。
  2. 低成長、市場の成熟化、グローバルな競争激化から、新技術・新製品・新サービスの開発、新事業開発などで活躍する専門職の育成が急務になってきた。

これらは、特に専門職が事業の中核を担う企業では重視しなければならない人事制度の環境変化と言えます。

複線型人事制度設計・運用の留意点

この人事制度を設計し、運用するにあたって留意すべき事項は次の通りで、いずれも慎重に検討、実行する必要があります。

  1. 社員の自主的なキャリア形成をベースとする人材の育成・活用を目的とする。
  2. 進路選択の自由が常に社員の側にあり、会社は、教育訓練制度でサポートする。
  3. 目的に沿った賃金制度を整備し、公正、納得性の高い運用を行う。
  4. 自社の経営戦略・目指す人材構成に合った進路コースの設定と運用を行う。
  5. 職務の内容や人材要件を社員に公開し、社員の意思を把握するとともに、適性・能力の面から公正な評価と運用を行う。
  6. 管理者に本人の希望進路と会社の戦略とのマッチングが図れるマネジメント力を持たせる。

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